通販・EC読了 約4分

GoogleがAI検索に「カート」を付けた。お客さんは、もうお店のサイトまで来ないかもしれない

「やっぱり来たか」。このニュースを見て、最初にそう思いました。

2026年10月15日、Googleが「Universal Cart(ユニバーサルカート)」をアメリカで始めました。5月にGoogleが発表していたもので、Google検索や、GoogleのAIと話せるGeminiアプリで見つけた商品を、どのお店のものでも一つのカートに入れておける機能です。

できることは、だいたいこんな感じです。

  • 複数のお店の商品を、一つのカートにまとめられる
  • 値下がりや再入荷を知らせてくれる
  • 使えるクーポンや、特典の大きいカードを教えてくれる
  • 対応しているお店なら、Googleの支払いサービスでそのまま買える(対応していないお店は、お店のサイトに移って買う)

つまり、「探す」「比べる」「待つ」「買う」までが、Googleの中で完結し始めたということです。

ここで言う「AI検索」は、キーワードを打って一覧から探すのではなく、「こういうものが欲しい」とAIに話しかけると、AIが候補を選んで答えてくれる検索です。

この記事は、動画でもお話ししています

Googleは、やろうと思えばいくらでもやれる

Googleは巨人です。何より検索を持っています。世界中の人が「何か欲しい」と思った瞬間に開くのが、Googleの検索窓です。

その入口を握っている会社が、カートと決済まで持ったらどうなるか。とても広いお客さんを持つ売り場が、一つできることになります。買う側にとっては便利ですし、かなり使われると思います。

ただ、僕が気になっているのは、Amazonとどう共存していくのかです。「欲しい」と思ったとき、Googleで探す人もいれば、最初からAmazonを開く人もいます。買い物の入口を取り合う二つの巨人の関係がどう落ち着くのかは、しばらく見ていきたいところです。

通販には「変わる部分」と「変わらない部分」がある

僕はエンジニアになって30年。そのうち20年は、通販会社向けに、受注・在庫・出荷・お客さんの情報をまとめて管理する「基幹システム」を提供してきました。オンラインもオフラインも含めた「通販」全体です。

20年見てきて思うのは、通販には変わる部分と変わらない部分があるということです。

カタログや電話、FAXといったオフラインの通販は、なかなか変わりません。一方でオンラインの通販は、本当に目まぐるしく変わります。モールが増え、ルールが変わり、今度はAIが買い物の入口になろうとしています。ECの変化の速さは、今も痛感しています。

だから僕は、ずっとこういう考えでシステムを作ってきました。

オンラインもオフラインもちゃんとつながり、そのうえで各チャネルを「ただのチャネル」として扱える基幹システムがいちばんいい。

チャネルというのは、注文が入ってくる入口のことです。楽天もYahoo!もAmazonも自社サイトも、電話もFAXも、どれかに振り回されない。新しい入口ができたら、それも一つのチャネルとしてつなぐだけ。そういう作り方です。

20年やってきて、この考えは間違っていなかったと思っています。今回のUniversal Cartも、見方を変えれば「新しいチャネルが一つ増える」話です。

日本にも、きっと来る

今はアメリカだけの機能です。でも、この流れは日本にも来るでしょう。

AIの中で商品が比べられるようになると、お客さんがお店のサイトに来る前に勝負がついてしまいます。そのとき比べられるのは、価格、在庫、送料、商品の情報です。これが正しく、新しくないと、そもそも候補に上がりません。

たとえば、こんな状態のお店は不利になります。

  • サイトの価格と、Googleに渡している価格がずれている
  • 楽天やAmazonでは売り切れなのに、自社サイトでは在庫ありになっている
  • サイズや素材などの商品情報が抜けている、表記がバラバラ

だから、今から準備しておくのは、とてもいいことだと思います。

  1. 商品データを整える。商品名、サイズ、素材、用途などを、AIが読み取れる形でそろえておく
  2. 在庫と価格を、すべてのチャネルで合わせる。在庫がずれていると、AIの中で「売り切れの商品を勧めてしまう店」になります
  3. 新しいチャネルが来ても、つなげられる形にしておく。チャネルごとに手作業で対応していると、この変化の速さにはついていけません

僕たちも基幹システムの側で、その準備を進めています。変化を怖がるより、流れに乗って、一緒に変わっていきましょう。

商品データの整え方は、前回の記事でも書きました。→ SEOの次は「AIに選ばれる商品データ」――ECの商品マスタが売上を左右する時代

参考:PYMNTS(Universal Cartの米国提供開始)

業務システムやAI活用でお悩みなら。SaaSに業務を合わせるのではなく、 その会社の業務そのものを設計し直します。

無料相談を申し込む

まず中身を知りたい方は現場開発プラン(FDE)現場アプリ内製化ブートキャンプ導入事例:システムパック株式会社・豊前市のパン屋「ぱんのこ」

Universal CartGoogleAI検索EC運営通販システム商品マスタ
Author
遠藤 友治

フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。

著者の経歴・開発実績を見る
← コラム一覧へ
どちらのプランか
決めきれなくても大丈夫です
まず30分、話す