通販・EC読了 約6分

検索1位なのに、お客さんが来ない。原因はGoogleのAIでした

何が起きているのか

Googleで検索すると、いちばん上にAIがまとめた回答が出てくるようになりました。「AIによる概要」(AI Overviews)と呼ばれる機能です。

このAI概要が出ると、検索1位のページでもクリックされにくくなる。SEOツールのAhrefsが、日本のデータでそれを数字にしました。

2026年6月の調査では、日本の検索1位のクリック率は62.7%低下。半年前の2025年12月は38%低下だったので、わずか半年で一気に悪化しています。米国はさらに厳しく、68.8%低下です。

この記事は、動画でもお話ししています

「62.7%低下」を100人でたとえると

「クリック率が62.7%下がった」と言われても、ピンとこないですよね。100人が検索したと考えてみます。

  • AI概要がなかったら、1位のページをクリックしたはずの人:約24人
  • 実際にクリックした人:約9人

つまり、来るはずだった24人のうち15人が来なくなった。これが「62.7%低下」の中身です。

ここで大事なのは、順位は1位のままだということです。順位レポートを見ても何も異変はない。なのに、アクセス解析を開くと検索からの流入だけが減っている。原因が分からずに記事の書き直しを繰り返しても、上にAI概要がある限り流入は戻りません。

なぜ1位でもクリックされないのか

理由はシンプルで、AIが先に答えてしまうからです。

「〇〇とは?」「〇〇のやり方」のように、知りたいことを調べるだけの検索なら、AI概要の要約を読めば用が足ります。わざわざサイトを開く必要がありません。これを「ゼロクリック」と呼びます。

さらに、AI概要が画面の上部を占めるので、1位のリンクがスクロールしないと見えない位置まで押し下げられます。

なお、この調査の対象は「情報収集型」のキーワード、つまり調べものの検索です。「〇〇 通販」「〇〇 購入」のような買う気のある検索は、今回の数字には含まれていません。ここは見落とされがちなポイントです。

じゃあ、Googleは困っていないの?

クリックが減ったら、広告で稼いでいるGoogleも困るのでは?と思いますよね。ところが、Googleの売上は伸び続けています。

理由は、GoogleがAIの回答の中に広告を入れ始めているからです。AI概要には2024年から広告が出るようになり、2025年には対話型の「AIモード」にも広告が入りました。2026年5月には、AIの回答の中に出る新しい広告の形も発表されています。

もうひとつのポイントは、Googleは「クリック1回いくら」で広告費をもらう仕組みだということです。クリックの数が減っても、1回あたりの値段が上がれば売上は保てます。

そして、AI概要が無料の検索結果を下に押しやるほど、「上に出たい」お店は広告にお金を払うようになります。

つまり、困っているのはGoogleではなく、広告費をかけずに検索から集客していたお店の方なのです。

なお、広告のクリック率自体は「下がった」という調査と「むしろ上がった」という調査があり、まだはっきりしていません。また、ChatGPTも2026年2月から広告のテストを始めています。お客さんがGoogle以外のAIで探すようになれば、Googleにとっても本当の脅威になるでしょう。

通販・EC事業者は何をすればいいか

「お役立ち記事で検索上位を取り、そこから商品ページへ」という集客は、これから効きにくくなります。では、どうするか。

1. 順位だけでなく、流入を見る

自社の主要キーワードでAI概要が出ているかを確認しましょう。順位が変わらないのに流入が減っているなら、原因はサイトではなくAI概要かもしれません。

2. AIに引用される側に回る

AI概要は、どこかのページを参照して答えを作り、引用元としてリンクを載せます。クリックが減る中で、この「引用元に選ばれるか」が新しい勝負どころです。引用されれば店名が目に留まり、店名で探してもらうことにつながります。

3. 一次情報を出す

AIの大好物は情報、それも一次情報です。どこにでも書いてある一般論はAIが自分でまとめてしまいます。産地や作り手の話、実際の使い方、お客様の声、現場で見てきたこと。通販事業者は、AIが欲しがる一次情報をたくさん持っています。

4. 少額でもいいから、広告を出し続ける

僕は2年前から、お客様に「無料でSEOの時代は終わりました」と伝えてきました。どんなにSEO的にいいサイトを作っても、それだけでは結果につながりにくい時代になると思ったからです。

そこでこの2年間、少額でもいいので広告を出し続けてもらいました。狙いは、すぐに売れること(直接のコンバージョン)ではなく、名前を知ってもらうことです。

結果は、単純に仕事が増えました。お客様の売上も伸びています。特に、これまで広告を出していなかったお店が出し始めると、効果は大きいです。認知度が上がり、それがビジネスの結果につながっていきます。すでに広告を出しているお店がさらに伸ばすのは、少し難しいかもしれません。

認知度の効果は数字で見えにくいものです。目安にするなら、Googleの無料の分析ツールであるSearch Consoleで、店名や社名での検索(指名検索)が増えているかを見るのがおすすめです。

ただし、広告をただ出せばいいというものではありません。AIに見つけてもらうための対策(AI SEO)や、Googleビジネスプロフィールの整備など、広告と並行してやるべきことはほかにもいろいろあります。広告は、それらとセットで効いてくるものです。

検索1位を取れば売れる時代は終わりつつあります。これからは「AIに紹介され、名前で探してもらえる店」になれるかどうかです。

参考

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Author
遠藤 友治

フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。

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