通販の検索の85%にAIが出る時代。商品ページで今見直したい4つのこと
「おすすめの○○」と検索したとき、最後に検索結果の青いリンクを上から順に押していったのは、いつだったでしょうか。
最近は、検索するとまずAIの要約が出てきて、それを読んで満足してしまう。そんな方は少なくないと思います。Googleでは「AIによる概要」(AI Overviews)と呼ばれる機能です。この変化が、通販の「商品を探す検索」でどこまで進んでいるのか。それを数字で示した調査が、先日アメリカで出ました。
アメリカでは、通販の検索の85%にAIが出る
検索の分析ツールを作っているSemrushが、2026年10月21日に公開した調査です。銀行・ソフトウェア・通販の「買う前の検索」400語を、1年間、毎月追いかけています。
通販のキーワードでAIの要約が出た割合は、2025年9月の33%から、2026年8月には85%まで上がりました。3つの業界の中でも、通販がいちばん急に増えています。

もう少し細かく見ると、通販の会社には気になる数字が並んでいます。

「○○向けのおすすめ△△」のような検索は96%。「○○ 口コミ」「○○ レビュー」は、30%から約90%に。通販の「値段」の検索は、1年前はわずか5%だったのが71%になりました。
お客さんが「比べて」「評判を確かめて」「値段を調べる」。そんな買う直前の検索ほど、AIが先に答えるようになったということです。
ただし、この調査はアメリカのパソコンの検索だけが対象です。測っているのも「AIの要約が出たかどうか」だけで、クリックが減ったかまでは分かりません。そこは割り引いて読む必要があります。
この数字を見て、正直「やっぱりそうなるのか」という感じでした。検索はこれからも、この方向に進んでいくでしょう。
日本は、実はもう追いついている
「アメリカの話でしょう」と思った方に、日本の数字も紹介します。
国内でAI検索の実測をしているItera社のレポート(2026年9月)では、日本語の検索でAIの要約が出る割合は、平均92.1%でした。「EC・通販」のジャンルは、調べた検索すべてで表示されています。また、Googleの「AIモード」も、2025年9月から日本語で使えるようになっています。
調べ方が違うので、単純には比べられません。それでも、「検索するとまずAIが答える」状態は、日本でももう当たり前になりつつあると言ってよさそうです。
では「来年の景色」は何か
この先はどうなるのか。アメリカで今まさに起きていることを並べると、次の3つが見えてきます。
1.検索1位でも、前ほどクリックされない Itera社の推計では、AIの要約が出る検索で1位がクリックされる割合は約12.7%です。一般に言われてきた28%前後の半分以下です。「1位を取れば売れる」という前提は、もう成り立ちにくくなっています。
2.AIの中で、比べてから買うまでが完結し始める Googleは10月15日、AIモードやGeminiで見つけた複数のお店の商品を、1つのカートにまとめられる「ユニバーサルカート」をアメリカで始めました。対応するお店なら、そのままGoogle Payで支払うこともできます。日本でいつ始まるかは発表されていませんが、「検索→自社サイト→購入」という道筋の真ん中が、省かれつつあります。
3.AIで探しても、買うのは「信頼できる店」 一方で、アメリカの消費者調査(PYMNTS、2,191人)では、AIを使った買い物の約6割がAmazonで完了していました。ブランドの自社サイトは6.3%です。理由は、返品のしやすさ、品ぞろえ、いつもの習慣でした。AIは「どこで調べるか」は変えましたが、「どこで買うか」は、まだ信頼で決まっています。
商品ページで、今見直したい4つのこと
では、AIに正しく紹介してもらい、来てくれたお客さんに買ってもらうために、商品ページで何を見直せばよいのか。AIから来るお客さんは、トップページを飛ばして商品ページに直接来ることが多いので、なおさら商品ページが大事です。
1.「誰に向いているか」を文章で書く
「○○向けのおすすめ」の検索では、AIの要約が出る割合が96%に達しています。AIが答えを作るときには、「この商品はどんな人、どんな場面に向いているか」という情報が要ります。
商品名と画像、価格だけのページでは、AIはその商品を説明できません。「一人暮らしの方に」「お中元に」「塩分を控えたい方に」など、電話の注文でお客さんに答えているような内容を、そのまま文章にしておくのが近道です。
2.よくある質問を商品ページに置く
AIから来るお客さんは、トップページも「ご利用ガイド」も見ずに、商品ページだけで判断しがちです。だから、商品ごとの「よくある質問」を、商品ページの中に置くのが効きます。
質問の種は、問い合わせのメールや電話、FAXの備考欄に、もうたまっています。賞味期限、保存のしかた、サイズ感、似た商品との違いなど、何度も聞かれることから書き出してみてください。
3.価格・送料・届く日をはっきり書く
通販の「値段」の検索は、AIの要約が出る割合が1年で5%から71%に増えました。AIは、価格を比べて答えるようになっています。
そのとき、税込価格、送料、届くまでの日数がページにはっきり書かれていないと、比べてもらう土俵に乗れません。在庫切れの商品が「在庫あり」のままになっていると、AIから来たお客さんを、その場でがっかりさせてしまいます。楽天やYahoo!、自社サイトなど、いくつもの売り場で在庫と価格がそろっているかも、あわせて確かめておきたいところです。
4.口コミが集まる仕組みを持つ
「口コミ」「レビュー」の検索は、AIの要約が出る割合が30%から約90%へと、いちばん大きく伸びました。AIは、実際に買った人の声をまとめて答えを作ります。
出荷のあとのフォローのメールやLINEで、口コミをお願いする。そんなふうに、声が自然にたまる仕組みを作っておくことが、これからAIにどう紹介されるかにつながります。
難しく考えず、正確な一次情報と、買った人の声を
これからは、AIに読まれることを考えたサイトづくりが欠かせなくなっていくと思います。AI SEOやLLMOと呼ばれるものです。
とはいえ、難しく考える必要はありません。AIが欲しがっているのは一次情報です。自社の商品について、正確な情報をきちんとサイトに書いておくこと。そして、必要な登録をして、AIがそのサイトをちゃんと見られる状態にしておくこと。それができていれば、お客さんがAIに質問したときに、あなたのお店や商品を出してくれる見込みは高くなるはずです。
もうひとつ大事なのが口コミです。自社が出す情報だけでなく、実際に買った人の声、つまり第三者からの評価も、これからますます大事になっていくのではないでしょうか。調査で口コミの検索がいちばん伸びていたのも、そのことを示しているように思います。
ここまでの4つも、特別なテクニックではありません。電話や店頭で普段お客さんに伝えていることを文字にして、在庫や配送の情報を正しく保つ。その積み重ねが、AIに選ばれるお店につながると思っています。
AIの購入ボタンと商品ページの話は、こちらでも書きました。→ ChatGPTが「どこで買うか」まで決める時代、地方の通販会社は商品ページで勝負する
出典
- Semrush:AI Overviews and commercial modifiers study(2026年10月21日)
- Itera:2026年9月 LLMO/AIOトレンドレポート(2026年10月5日)
- Web担当者Forum:Google、AIモードを日本語で提供開始(2025年9月9日)
- ネットショップ担当者フォーラム:Google「ユニバーサルカート」(2026年10月23日)
- PYMNTS:Shoppers Would Send AI Agents to Marketplaces Over Brand Sites(2026年10月23日)
- ネットショップ担当者フォーラム:なぜAI訪問客はトップページをスキップするのか?(2026年10月22日)
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フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。
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